離婚してから、僕はもう一度結婚したいと思っていた。
理由は、わりと単純だった。
1人が嫌だった。
誰かに横にいてほしかった。
離婚して初めて思った。
好きな人が横にいてくれるって、当たり前じゃないんだな。
むしろ、奇跡みたいなことだったんだな、と。
だから僕は、もう一度その奇跡を手に入れたかった。
そして最終的に僕は、結婚相談所でお見合いを申し込むことになる。
最初に利用したオンライン型の相談所と、その後に入った担当者型の相談所。
そこで申し込んだ人数を合わせると、
約500人。
成立したお見合いは、
0件だった。
一度も会えなかった。
今なら「すごいな、500人」って自分でも思う。
でも当時は、笑い話じゃなかった。
ダメなら、戦うステージを変えればいい
最初から結婚相談所を使っていたわけではない。
離婚後、まず始めたのはマッチングアプリだった。
でも、なかなかうまくいかなかった。
次に婚活パーティーへ行った。
これもかなり参加した。
それでも、結婚にはつながらなかった。
当時の僕には、一つの考えがあった。
「ダメなら、戦うステージを変えればいい」
アプリでダメなら、婚活パーティー。
婚活パーティーでダメなら、次の場所。
自分がダメだと決めつけるより、自分に合う場所を探したほうがいい。
どこで戦うかは大事だと思っていた。
そこで次に選んだのが、
結婚相談所だった。
最初はオンライン型の結婚相談所を試した
当時の僕にとって、結婚相談所は少しハードルが高かった。
料金も高そうだし、入会するのにも覚悟がいる。
そんなとき、オンラインで活動できる結婚相談所があることを知った。
僕が利用した当時は、無料で活動できる期間もあった。
だったら、まず試してみよう。
そう思った。
最初にZoomで面談があった。
いろいろなことを聞かれて、その内容をもとにプロフィールを作ってもらった。
出来上がったプロフィールを見て、
「結構いいじゃん」
と思った。
面談でも、会話ができないわけじゃないと言ってもらえた。
画面越しではあるけれど、部屋の様子や普段使っているものまで見ながら、僕がどんな人なのかを見てくれていた。
もちろん、多少は営業トークもあったかもしれない。
それでも、
「少なくとも、会って話すところまで行けば何とかなるんじゃないか」
と思った。
アプリや婚活パーティーとは違うステージに来た。
プロフィールも作ってもらった。
今度こそ、お見合いくらいは成立するんじゃないか。
そう思っていた。
でも、
成立しなかった。
条件を入れて探してみると、僕自身が「いいな」と思える人も、記憶では50人くらいだった。
その中から申し込んでいった。
それでも、お見合いにはならなかった。
ここで初めて、
「あれ?」
と思った。
ステージを変えた。
プロフィールも作ってもらった。
それでも会うところまで行けない。
だったら、僕にはもっとプロの力が必要なんじゃないか。
そう考えた。
もう、自分で考える段階は過ぎていた
僕はそれまでにも、自分なりにいろいろ考えていた。
どう見せればいいのか。
どう話せばいいのか。
どんな場所なら自分に合うのか。
アプリもやった。
婚活パーティーにも行った。
オンライン型の結婚相談所も試した。
それでもダメだった。
だから、この時点ではもう、
「次は自分で何を改善しよう」
とは思っていなかった。
むしろ逆だった。
自分で考えられることは、もうやった。
だからプロにお願いしたかった。
自分では気づけない魅力があるなら見つけてほしい。
見せ方が悪いなら直してほしい。
戦略が間違っているなら教えてほしい。
僕の感覚としては、
「もう全部お任せします」
だった。
「本当に好きな人と結婚したい」
次の相談所を探すために、婚活について発信している人たちをかなり調べた。
その中で、どうしても僕に合わない考え方もあった。
「条件を下げたほうがいい」
「その条件、本当に必要?」
そんな考え方も理解はできる。
でも、僕はただ結婚という状態が欲しかったわけじゃなかった。
僕が欲しかったのは、
好きな人が横にいる人生だった。
そんな中、ある結婚相談所の運営者を見つけた。
正確な言葉はもう覚えていない。
でも、その人が発信していたのは、
「本当に好きになった人と結婚しなきゃダメ」
そんな考え方だった。
僕はそれを見て、
「この人だ」
と思った。
考え方が、自分と近かった。
無料のZoom相談でも話しやすかった。
見た目も会話も悪くない。
相談所に入らなくても普通に相手が見つかりそう。
そんなことも言ってもらった。
今思えば、
口がうまいなあ
とも思う。
でも当時の僕は、本当に自信をもらった。
「ここならいけるはず!」
と思った。
そして入会した。
勢い余った僕は、親や職場にも宣言した。
「相談所入ったから、1年以内に再婚する!」
本気だった。
本当に1年以内に再婚するつもりだった。
ちなみに、その後この話について誰からも何も言われなかった。
誰も触れられない黒歴史になった。
申し込んでも、申し込んでも、成立しない
相談所での活動が始まった。
相手を探して、お見合いを申し込む。
断られる。
また探す。
申し込む。
断られる。
それを繰り返した。
最初は、
「まあ、そう簡単にはいかないよな」
くらいだったと思う。
でも人数が増えていく。
100人。
200人。
それでも、
0。
誰ともお見合いが成立しない。
その頃、僕が思っていたことはシンプルだった。
「やっぱ自分は誰にも必要とされてないのかな」
「自分って需要ないんだなー」
婚活では、自分が選ぶ側でもある。
僕だって相手の見た目や条件を見る。
だから断られること自体を責めるつもりはない。
でも、何十人、何百人と続くと、
「誰からも選ばれない」
という結果だけが積み上がっていく。
それは、やっぱりしんどかった。
300人に申し込んだ頃、プロから提案されたこと
お見合いが一度も成立しないまま、申し込みは300人くらいになった。
その頃、相談所の運営者から連絡が来た。
状況は聞いていたけれど、相談が遅くなって申し訳ない。
そんな内容だったと思う。
そしてZoomで、プロフィールを見直すことになった。
そこで出てきた改善案は、大きく3つだった。
写真。
服装。
そして、
身長。
僕は思った。
「結局、見た目かよ!」
ここは誤解されたくない。
僕は、恋愛において見た目は大事だと思っている。
僕自身、相手を選ぶときに見た目を気にする。
だから、
「見た目で選ぶなんておかしい」
と言いたいわけじゃない。
それくらいは、僕にも分かっていた。
自分なりに考えて、試して、それでもうまくいかなかった。
だからプロに任せた。
自分では気づけない何かを見つけてもらえると思っていた。
そしてプロから出てきた改善策が、
写真。
服装。
身長。
だった。
「そこなんかーい!」
という意味である。
写真、服装、そして身長を変えた
最初に使っていた写真は、婚活用のスタジオでプロに撮ってもらったものだった。
それを、自分で撮った写真に変えた。
白い壁を背景にして、スタンドを使って撮影した。
写真加工アプリも使った。
服装も変えた。
最初はTシャツにジャケットだった。
それを、パーカーと細身のパンツという、かなりカジュアルな服装にした。
僕にはそちらのほうが合っている。
広く受けようとするより、その格好が好きな人に刺さればいい。
そんな考え方だった。
今の僕ならちょっと思う。
「ほんとかよ!」
でも当時は、もうプロに任せると決めていた。
だから、提案されたことはやった。
そして一番驚いたのが、
身長だった。
僕は男性としては小柄なほうだ。
婚活では、検索条件で身長を指定する人もいる。
つまり、一定の身長より低いと、プロフィールを読んでもらう前に検索結果から外れてしまう。
だから、
プロフィール上の身長を実際より高くする
という提案だった。
最初に提案された数字を聞いたときは、
「いや、それはさすがに無理があるだろ」
と思った。
最終的には、それより少し低い数字にして、実際より高い身長をプロフィールに載せた。
実際に会うときは、背を高く見せる靴を履く。
そして相手に好きになってもらってから、本当の身長や靴のことを話せば受け入れてもらえるかもしれない。
そんな考え方だった。
これが正しい方法なのかは、今でも分からない。
ただ、当時の僕は、
「プロに任せる」
と決めていた。
だからやった。
「プロの提案を全部やってみた」
写真を変えた。
服装を変えた。
身長の表記も変えた。
でも正直、僕はあまり期待していなかった。
「焼け石に水だろ」
と思っていた。
それでも、もうプロに任せると決めていた。
提案されたことはやった。
申し込める人数も増やして、さらに申し込んだ。
ただ、この頃には、
「これでダメなら、さっさとやめよう」
くらいの感覚だった。
最後の希望をかけた、という感じではない。
むしろ最後の確認だった。
これまでやってきたこと。
プロから提案されたこと。
全部やって、それでもダメなら終わりにしよう。
そして申し込みを続けた。
最初に利用したオンライン型の相談所での活動も合わせると、
申し込んだ人数は、
約500人になった。
最後まで、
お見合いは一度も成立しなかった。
もう「次に何をしよう」がなかった
約500人に申し込んで0だったから、婚活をやめた。
数字だけなら、そう見えるかもしれない。
でも僕の中では、少し違う。
アプリもやった。
婚活パーティーにも行った。
自分なりに、見せ方や戦う場所も考えた。
オンライン型の結婚相談所も試した。
それでもダメだったから、最後はプロに任せた。
そのプロから提案されたこともやった。
それでもダメだった。
もう、
「次はこれを試そう」
がなかった。
悔しいというより、
疲れ切っていた。
燃え尽きたんだと思う。
僕は相談所に退会することを伝えた。
「成果がないので、○月末でやめます」
返ってきたのは、
「わかりました」
それくらいの短いやり取りだった。
そして、僕の結婚相談所での婚活は終わった。
婚活をやめた頃、僕は本当に疲れていた。
だから、もう次の婚活方法を探そうとは思わなかった。
代わりに、一つ決めた。
「これからは、自分に優しく生きよう!」
婚活だけじゃない。
仕事でも、生活でも、人間関係でも。
頑張れることは頑張ればいい。
でも、
自分をしんどくさせてまで、頑張らなくてもいい。
自分が楽しいと思えることをやってもいい。
自分がしんどくならない選択肢を選んでもいい。
この頃から、僕は少しずつそう考えるようになった。
その先で、僕はスノーボードにどっぷりハマった。
一人でも人生を楽しめるようになった。
戦うステージを変えるつもりだった僕は、
いつの間にか、
幸せを感じるステージそのものを変えていた。
それでも、好きな人が横にいたらいい
だからといって、
「結婚なんてしなくていい」
と思うようになったわけではない。
今でも結婚したい。
大好きな人が横にいてくれたらいいと思う。
一緒に出かけたり。
同じものを見て、
「おいしいね」
「きれいだね」
「楽しいね」
と言ったり。
一緒に人生を楽しめる人がいたら、きっともっと楽しい。
離婚した頃の僕は、
好きな人が横にいなければ、人生を楽しめない
と思っていたのかもしれない。
今は少し違う。
一人でも人生は楽しめる。
でも、
大好きな人が横にいたら、もっと楽しい。
それくらいが、今の僕にはちょうどいい。
もし当時の、必死に婚活していた自分に何か言えるなら、
こう言いたい。
「結婚が全てじゃないよ!」
「他にも楽しいことはいっぱいある!」
「焦らないで!」
約500人に申し込んで、成立0。
ずいぶん遠回りした。
でもまあ、
人生はまだ途中だ。


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