部活をサボっていたら、学校の怪談をひとつ増やしてしまった

40代、まだ途中

中学3年生の頃、僕はバスケ部に入っていた。

ただ、ほとんど部活には行っていなかった。

いわゆる、サボり魔である。

でも、最初からそうだったわけではない。

バスケを始めたのは、小学4〜5年生くらいだったと思う。

友達に誘われて始めたら、これが楽しかった。

だから中学に入ったときも、迷わずバスケ部に入った。

なぜか一緒にバスケをしていた友達は、みんなテニス部に入ったけど。

それでも僕はバスケが好きだった。

中学1年生の頃は、がむしゃらに部活をしていたと思う。

でも2年生くらいから、少しずつ気づき始めた。

僕はバスケが好きだけど、

「チームで勝ちたい」という気持ちは、そこまで強くない。

シュート練習なら、ずっとやっていられる。

個人技を練習するのも好きだった。

でも、試合に勝つためにチームプレーを練習して、みんなで同じ目標に向かって頑張る。

そういう部活の空気には、あまり馴染めなかった。

僕はただ、楽しくバスケがしたかった。

今でいう、エンジョイ勢だったんだと思う。

そして中学2年生の途中くらいから、僕はほぼ毎日部活をサボるようになった。

部活はサボる。でも、ゴルフの練習はする

そんな僕が、中学3年生の頃にハマっていたものがある。

ゴルフだ。

母の弟にあたる叔父さんがゴルフ好きで、休日によく遊びに連れていってくれた。

ゲーセンだったり、バッティングセンターだったり。

ある日、叔父さんが行く打ちっぱなしについていって、少し打たせてもらった。

そこから、見事にハマった。

父親から使わなくなったサンドウェッジを一本もらい、ひたすらスイング練習。

ゴルフ雑誌が愛読書になり、毎週のように叔父さんへ電話していた。

「今週、ゴルフ行ける?」

家の中でもクラブを振っていた。

一度、タンスの取っ手にクラブをぶつけて、取っ手を吹っ飛ばしたこともある。

なんとか元に戻せた。

ある日、担任の先生に聞かれた。

「お前、部活も行かずに家で何してるんだ?」

僕は答えた。

「ひたすらスイング練習してます!」

先生は、ちょっときょとんとしていたと思う。

部活には行かない。

でも、家ではひたすらゴルフの練習をしている。

我ながら、よく分からない中学生である。

サボっても、家には帰れない

じゃあ部活をサボって、何をしていたのか。

基本的には、学校にいた。

僕の中学校では、運動部に所属するのがルールだった。

だから「部活が嫌なら辞めればいい」というわけにもいかなかった。

しかも部活が終わる前に帰ろうとすると、校門には先生がいる。

「お前、部活は?」

となる。

なので、同じバスケ部にいたサボり仲間と、教室で部活が終わる時間まで喋っていることが多かった。

一度、裏門からなら帰れるんじゃないかと思って、二人で自転車に乗って脱出したこともある。

ところが、ちょうど車で学校を出てきた先生に見つかった。

「何サボってる! 学校に戻れ!」

僕たちは戻るふりをした。

先生の車が見えなくなってから、

「別の道から帰ろう」

とルートを変更した。

すると、その先でさっきの先生とまた遭遇した。

「お前ら……もういい。明日話がある」

翌日、普通に怒られた。

そんなことをしながら、僕たちは日々、部活終了までの時間をやり過ごしていた。

誰もいない図書室を見つけた

中学3年生の、まだ暑くなる前だったと思う。

その日も、いつものように友達と部活をサボっていた。

たしか教室にいたところを先生に見つかって、

「はよ部活いけ〜」

みたいなことを言われたんだったと思う。

仕方なく、別の場所を探すことにした。

そこで見つけたのが、図書室だった。

誰もいない。

「使い放題だ〜」

もちろん、本を読むわけではない。

二人でずっと喋っていた。

すると突然、先生たちが入ってきた。

「やばっ」

僕たちは、とっさに図書室の後ろにある机の下へ隠れた。

すぐに出ていくだろう。

そう思っていた。

まさかの会議が始まった

先生たちは、出ていかなかった。

それどころか、

会議が始まった。

しかも、その中には生活指導の体育の先生がいた。

普段、部活をサボっている僕たちを怒る先生だ。

よりによって、一番見つかりたくない人がいる。

最初は友達と別々の机の下に隠れていた。

「やばいやばい、見つからないかな」

そんなことを考えながら、じっとしていた。

ところが、ときどき生活指導の先生が、なぜか図書室の後ろのほうへ歩いてくる。

そのたびに友達と目配せをして、先生から見えない側へこそこそ移動する。

何をしているんだ、僕たちは。

しかも会議が、全然終わらない。

途中から友達と同じ机の下に合流した気がする。

最初は、

「見つかったらどうしよう」

だったのに、

そのうち、

「……いつ終わるんだ」

に変わっていた。

たぶん、1時間くらいは隠れていたと思う。

やっと終わった。……閉まってる!!

ようやく会議が終わった。

先生たちが図書室から出ていく。

僕たちは、すぐには動かなかった。

全員が出ていって、扉が閉まるところまで確認する。

よし。

やっと帰れる。

机の下から出て、扉へ向かった。

ガチャ。

「え?」

もう一度。

ガチャガチャ。

「閉まってる!!」

鍵をかけられていた。

先生たちは、当然、図書室には誰もいないと思っている。

まさか机の下に、中学生が二人隠れているとは思わない。

その結果。

部活をサボるために先生から隠れ続けた僕たちは、

誰にも見つからなかったせいで、図書室に閉じ込められた。

誰か呼びたい。でも、先生にはバレたくない

「どうしよう……」

とりあえず、

「ベランダ出てみるか」

となった。

ベランダに出て、隣の部屋へ移れないか探してみる。

無理そうだった。

下にも降りられないか見てみる。

これも無理。

図書室が2階だったか3階だったかは、もう覚えていない。

ただ、飛び降りられるような高さではなかった。

時間はもう19時を過ぎていた。

学校には、ほとんど人が残っていない。

誰かを呼ぶことも考えた。

でも、誰かに聞こえるくらい大きな声を出したら、先生にも見つかるかもしれない。

そうなると当然、

「なんでお前ら、図書室にいるんだ?」

となる。

部活をサボって、先生から隠れるために机の下に潜っていたら、そのまま鍵をかけられました。

……できれば説明したくない。

かなり焦っていた。

この窓、内側から開くやん!

ベランダから図書室に戻った。

どうしよう。

扉の前で困っていたとき、僕はたまたま上を見た。

扉の上のほうに窓がある。

「あれ?」

よく見ると、

「この窓、内側から開くやん!」

見つけた瞬間、

「ここから出れる!」

と思った。

時間も遅い。

迷っている場合ではない。

図書室にあった、高いところの本を取るための踏み台を持ってきて、扉の前に置いた。

友達は運動神経がよかったので、ひょひょいっと先に出ていった。

僕は身体が小さかったので、反対側へ降りるところが少し高く感じた。

友達に支えてもらいながら、僕もなんとか脱出。

出た瞬間に思ったのは、

「助かった〜」

というより、

「もう誰もいないし、早よ出ないと!」

だった。

そのまま二人で昇降口へ向かった。

幸い、まだ開いていた。

この日は家庭教師が来る日だった。

とっくに時間を過ぎている。

急いで家に帰ったが、帰ってこない僕を待っていた家庭教師の先生は、親がすでに帰していた。

翌朝、図書室に小さな謎が残った

次の日。

友達と雑談をしていると、図書委員の友達がこんな話をし始めた。

朝、図書室の鍵を開けたら、

扉の前に、なぜか踏み台が置いてあったらしい。

「なんでこんなところにあるんだ?」

みたいな話になっていた。

僕は心の中で思った。

「それ俺らの仕業やん!」

でも、もちろん言わなかった。

それどころか、

「それ、学校の七不思議じゃない?」

みたいな方向へ、自分から話を持っていった気もする。

真相を知っている本人が、怪談を作ろうとしている。

我ながらアホである。

結局、大きな噂になったわけではない。

図書室に、小さな謎がひとつ残っただけだった。

今思えば、

部活をサボって、

先生から隠れて、

図書室に閉じ込められて、

窓から脱出して。

何をやっていたんだろうと思う。

でも、こういうアホな出来事ほど、妙に覚えている。

ちなみに僕は、大人になってからも一度、ハワイのホテルのベランダに閉じ込められている。

どうやら僕は、閉じ込められることに少し縁があるらしい。

それはまた、別の話。

コメント

タイトルとURLをコピーしました